心理コラム
曖昧な関係で、なぜ片方だけ期待が大きくなってしまうの?
毎日のように連絡を取っている。
二人で出かけることもあるし、「会いたい」と言われることもある。
そんな時間が続けば、まだ付き合っていなくても「私たちはかなり特別な関係なのかも」と感じることがあります。
ところが、いざ二人の関係について話そうとすると、相手は急に言葉を濁す。
「今のままでよくない?」
「そんなに関係をはっきりさせる必要ある?」
そこで初めて、自分が思っていた二人の距離と、相手が考えていた距離が同じではなかったことに気づくこともあります。
曖昧な関係が苦しくなるのは、名前がついていないからだけではありません。
同じ時間を過ごしながら、それぞれが違う関係を想像していることが、すれ違いにつながることがあります。
最初は「楽しい」だけでも困らない
関係が始まったばかりの頃は、細かなことまで決めなくても自然に過ごせることがあります。
連絡したいときに連絡する。
予定が合えば会う。
お互いに好意がありそうなら、その時間を楽しむ。
この段階では「私たちは何?」という話をしなくても、それほど困らないかもしれません。
むしろ、まだ分からないからこそ楽しい部分もあります。
ただ、その時間が長くなるにつれて、二人が相手に求めるものは少しずつ増えていくことがあります。
「週末は会えると思っていた」
「他の人とはこんなふうに会わないと思っていた」
「これだけ連絡しているなら、自分は特別だと思っていた」
ここで生まれているのは、単なる好意だけではありません。
一緒に過ごした時間から、自分なりの「この関係はこういうもの」という期待が形づくられていくことがあります。
言葉にしていない期待は、二人の間で同じとは限らない
問題は、その期待を相手も同じように持っているとは限らないことです。
たとえば、一人は「毎週二人で会っているのだから、他の人とはデートしない関係だ」と思っている。
もう一人は「仲はいいけれど、付き合う約束はしていない」と考えている。
同じ行動をしていても、その行動に与えている意味が違います。
その状態でさらに距離が近くなると、期待にも差が出やすくなります。
片方は「これから恋人になる途中」と考え、もう片方は「今が楽しいから続けている」と考えているかもしれません。
どちらかが心の中だけで関係を一段進めても、その変化が自動的に相手へ共有されるわけではありません。
期待の差は、小さな違和感として現れる
二人が考えている関係に差があると、それまで気にならなかったことが気になり始めることがあります。
知らない人からのメッセージが見えた。
週末に誰と会っているのか分からない。
自分とは頻繁に会うのに、友人には自分のことを話していない。
そんな出来事があるたびに、
「これを気にする私は重いのかな」
「まだ付き合っていないんだから聞くのはおかしい?」
と、自分の気持ちのほうを疑ってしまうこともあります。
けれど、ここで起きているのは嫉妬だけとは限りません。
自分が想像していた関係と、実際の二人の関係に差があるのではないかという戸惑いが含まれていることもあります。
だからこそ、相手のスマートフォンや交友関係から答えを探し続けても、違和感が消えないことがあります。
知りたいのは「誰と連絡しているか」だけではなく、「私たちはお互いをどんな存在として考えているのか」だからです。
「何をしてはいけないか」より先に、「何を期待しているか」
関係のルールというと、
「異性と二人で会うのはあり?」
「元恋人と連絡するのは?」
「毎日連絡しないとダメ?」
といった禁止事項を決めることを想像しやすいかもしれません。
でも、その前に確かめたいのは、二人がこの関係に何を期待しているかです。
恋人になりたいのか。
今の距離を保ちたいのか。
他の人との恋愛の可能性も残しておきたいのか。
まだ自分でも決められないのか。
ここが違っていれば、細かなルールだけを決めても、別の場面ですれ違う可能性があります。
反対に、お互いが望んでいる関係が分かれば、「どこまでなら心地よく過ごせるか」という話もしやすくなります。
関係について聞くことは、相手を縛ることとは限らない
「私たちってどういう関係?」
この質問をすると、急に重い雰囲気になりそうで怖いことがあります。
答えを聞いたら、今までの関係が壊れてしまうかもしれません。
だから曖昧なままでも、楽しい時間が続くほうを選びたくなることがあります。
それでも、期待が大きくなるほど曖昧さが苦しくなっているなら、関係について話す意味も変わってきます。
相手に恋人になるよう迫るためではなく、
自分がどんな関係にいるのかを知ったうえで、この先もそこにいたいかを考えるための会話になるからです。
相手が今すぐ同じ答えを出せないこともあります。
その場合でも、「まだ決められない」という答えを知っている状態と、相手も自分と同じ気持ちだと思い続ける状態では、自分が選べることが違います。
曖昧さそのものより、その中で自分が選べているか
名前のついていない関係が、すべて苦しいわけではありません。
二人とも今の距離に納得しているなら、その関係が心地よいこともあります。
反対に、毎日優しい言葉を交わしていても、一人だけが「いつか関係が変わるはず」と待ち続けているなら、楽しかったはずの時間が少しずつ不安に変わることがあります。
そんなときは、相手が本当は何を考えているのかを当て続けるより、
「私はこの関係に何を期待している?」
「相手はそれを知っている?」
「今の関係を知ったうえでも、私はここにいたい?」
と、自分が選ぶための問いに戻ってみる。
曖昧だった関係にすぐ名前がつかなくても、自分が何を期待しているのかまで曖昧にしておく必要はありません。
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